人工知能に関する特許を取得するにはどうすればよいのでしょうか?

人工知能に限らず、特許を取得するためには、事前作業として以下のようなプロセスが必要です。

(1)発明をブラッシュアップする。

(2)同様の発明が既に存在しないか調査する。

 

まず、(1)については、より強い特許権を取得するためには、発明をブラッシュアップする必要があります。具体的には、強い権利にするために発明を上位概念化(垂直展開)するとともに、権利を回避されないために発明のバリエーションを検討(水平展開)する必要があります。

 

つぎに、(2)については、同じような発明が既に存在する場合には、特許庁の審査によってはじかれてしまいますので、出願する前に、特許庁のデータベースを使って、調査を行う必要があります。もし、調査によって、同じような発明が見つかった場合には、(1)に戻って、発明のさらなるブラッシュアップが必要になります。

 

以上の(1)(2)のプロセスによって、発明のブラッシュアップが完了した場合には、発明の特徴を明確に記載した出願書面を作成します。なお、出願書面には、特許請求の範囲(権利範囲を記載した書面)と、明細書(発明の特徴を言葉で説明した書面)と、図面(発明の特徴をイメージで説明した書面)、願書(発明者や出願人を記載した書面)、要約書(発明の概要を説明した書面)があります。強い権利を取得するためには、発明を漏れなく的確に記載する必要があります。また、審査官から拒絶理由通知を受けた場合に、反論できるようにするためには、何段階にも防御網を巡らせた記載をする必要があります。

 

出願書面が完成した場合には、特許庁に提出(出願)し、審査請求をすることで、審査官が審査をしてくれます。審査の結果、特許してもよいと審査官が判断した場合には特許査定となります。一方、特許できないと判断した場合には、特許出来ない理由を記載した書面(拒絶理由通知)が通知されます。なお、審査請求した出願のうち、90%に対して拒絶理由が通知されます。

 

拒絶理由通知が通知された場合には、特許請求の範囲に記載されている発明を補正書によって補正するとともに、意見書によって反論する必要があります。例えば、出願した発明が構成要素A、B、Cである場合に、審査官からa、B、Cである発明が既に存在するから、特許できないと通知された場合には、例えば、構成要素A、B、C、Dに補正するとともに、新たな構成要素Dを有することによる技術的なメリット(例えば、処理速度が速くなる等)を主張します。このような対応によって、審査官の心証が変わった場合には、特許査定となります。もし、心証が変わらない場合には、さらなる補正(構成要素をA、B、C、D、Eにする補正)をするとともに、意見書による反論が必要になります。

 

なお、特許請求の範囲に記載されている発明を補正書によって補正する場合(例えば、構成要素がA、B、Cである発明を補正によって構成要素がA、B、C、Dの発明に補正する場合)、構成要素Dは明細書に出願時から記載してある必要があります。つまり、出願時に記載されていない内容については、後から追加することはできません。このため、出願時の明細書には、拒絶に備えて、様々な情報を盛り込んでおく必要があり、そのような観点かも、前述した(1)(2)のプロセスが重要になります。

 

そして、晴れて審査官から特許査定が通知された場合には、登録料を支払うことによって、特許権を得ることができます。