物に関する発明や考案をした場合に、どのような保護をうけることができるのかについてお悩みの場合には、以下のように考えるとよいかも知れません。

まず、発明の対象となるもの構造が新しい場合には、以下の2つの観点からの保護が可能です。

(1)アイディアとして保護する

(2)デザインとして保護する

具体例を挙げた方が分かりやすいと思いますので、フォークリフト等の運搬車両のタイヤの例でご説明します。運搬車両のタイヤは、自動車のタイヤと異なり、中に空気が入っていません。このため、乗り心地が悪いので、そのような欠点を改善するために、下の図に示すように、「側面を貫通する複数の孔を設けたタイヤ」を考案したとします。

このような考案の場合、(1)孔を開けることでクッション性を向上させて乗り心地を改善するというアイディアとしての側面と、(2)側面に孔を開けたデザインとしての2つの側面から捉えることができます。

まず、(1)アイディアとしては、特許または実用新案として保護することができます。また、(2)デザインとしては、意匠として保護することができます。なお、意匠につきましては、このページの末尾の動画をご参照下さい。意匠について簡単にまとめています。

まず、(1)と(2)で何が違うかを説明します。アイディアとして保護を受ける場合、「側面に複数の孔を設けたタイヤ」として特許または実用新案として保護を受けることが考えられます。一方、デザインとして保護を受ける場合、上の図のような形状を有するタイヤの意匠として保護を受けることができます。なお、特許や実用新案の場合には、構造が新しいだけでなく、その新たな構造によって得られるメリット(タイヤの例では乗り心地が良くなる)が必要になりますが、意匠の場合にはそのようなメリットは必要ないことも重要です。つまり、意匠の場合には構造や形状が新しければ、その構造や形状に意味がなくても保護されます。

ところで、意匠の場合には、登録されたデザインと「同じ」デザインと、「類似する」デザインに権利が及びます。簡単に言うと、デザイン的な印象が同じなら権利範囲内ですが、デザイン的な印象が変わる場合には権利範囲外となります。このため、上のタイヤの例では、下の図ように孔の数を変えたり、孔の形を変えたり、孔の位置を変えた場合、デザイン的な印象が変わりますので、権利範囲から外れてしまい、他人の摸倣を許してしまうことになります。

 

一方、(1)の場合には、権利範囲として「側面に複数の孔を開けたタイヤ」とした場合には、孔の数や位置は規定されませんので、孔の数を増減したり、孔の位置を変えた場合でも、権利範囲内に収めることができ、他人の摸倣を防ぐことができます。

一般論としては、デザインとして意匠で保護するよりも、アイディアとして特許または実用新案で保護する方が、より広い権利として保護を受けることができます。

なお、上の図のタイヤは、意匠登録第1246915号として意匠登録を受けているとともに、下の図に示すように、特許第3985871号として、特許としての登録も受けています。このように、デザインとしての観点から意匠登録を受けるとともに、アイディアとしての観点から特許としての登録を受けることで、権利の網の目をより細かくし、権利を回避されることをより確実に防ぐことができます。なお、特許として保護を受けるか、実用新案として保護を受けるかについては、こちらをご参照下さい。

また、意匠については、以下の動画をご参照下さい。