起業家として成功するためには、どんな人格が必要なのか?

7年くらい前に読んだ本で、起業家の神話(E-Myth)(日本語書名「はじめの一歩を踏み出そう」)という本がある。この本の著者(Michael E. Gerber)は、20年間にわたってスモールビジネスを対象にした経営コンサルティング活動を行い、アドバイスした企業は25,000社にも及ぶ。この本は、その経験を活かして、スモールビジネスが失敗しがちな原因を分析し、成功するためのノウハウを明かした本で、それが全米でもベストセラーになったそうだ。

この本によると、起業家として成功するためには、調和のとれない3つの人格が必要とのこと。

(1)起業家の人格

(2)マネージャーの人格

(3)職人の人格

まず、(1)起業家の人格とは、変化を好む理想主義者的な人格で、この人格のおかげで、将来の向けて投資したり、ビジネスを拡大したりすることができる。

つぎに、(2)のマネージャの人格とは、管理が得意な現実主義者で、この人格のおかげで、日々の実務の管理ができたり、人や物の管理ができる。

さいごに、(3)の職人の人格とは、手に職を持った個人主義者で、この人格のおかげで、質の高い商品やサービスを生み出すことができる。

そして、殆どの人は、(3)の職人の能力、つまり、事業の中心となる専門的な能力があれば、事業を経営する能力は十分に備わっていると誤解して独立開業するから、帳簿をつけたり、人を雇ったりと、これまで経験したことがない仕事に追われて本業に手が回らなくなり、自分が始めた事業に苦しめられるようになるのだ。

私はこの本は独立する前に読んでいたので、概要は分かった状態で独立した。しかし、いま振り返ってみると、確かに、この本の言うとおりだということを身を持って実感することができた。

独立前は、自分自身は(3)の職人の人格については自信があった。もちろん、この中心的な人格に自信がなければ独立など考えないからだ。(2)のマネージャーの人格についてはもともと自信はなかったが、事務的な仕事や繰り返し仕事についてはプログラム言語を用いてマクロ化することで乗り越えられるのではないかと考えていたが、現実には、全てをIT化するには時間がかかるために、かなりの時間をこのマネージャーの仕事に奪われている現実がある。また、(1)の起業家の人格については、新たなビジネスを考えたり、将来設計をすることについてはある程度自信があったが、この人格でもうひとつ大切なのは、重要な局面で、ひるむことなくリスクテイクができることではないかと思う。

この本には確かに起業する際に、多くの人が見落としがちな真実が隠されているように思う。もし、起業を思い立ったら、まずはこの本を読んで冷静に自分に備わっている人格を分析し、その分析結果に基づいて、計画を練り直すことがよいかも知れない。

なお、このE-Mythシリーズには、弁護士を例に挙げて書かれた「The E-Myth Attorney: Why Most Legal Practices Don’t Work and What to Do About It」がある。私もKindle版を購入して読んだが、もし、士業の方で独立を考えている方はこちらも合わせて読んでみたらよいかも知れない。